シリーズ『仕事に向き合う姿勢について』
①書籍執筆編「出版書籍累計12万冊を超えて」
②企業内研修編「年間30社の企業内研修を担当して」
3つの大学教員に就任して
2017年の春現在、3つの大学で非常勤の教員を務めています。早稲田大学経営管理研究科(ビジネススクール)客員教授、多摩大学大学院経営情報学研究科(ビジネススクール)客員教授、そして慶應義塾大学理工学部管理工学科非常勤講師です。常勤教員では原則1つの大学しか所属することはできませんが、3つの異なる大学の職員として同時に勤務できることは、非常勤教員の役得といったところです。
会計分野のコンサルティングや企業内教育で指導を行っていると、ありがたいことに様々な大学から教員就任の依頼を受けます。あいにくそのすべてをお受けすることは時間の制約上できませんが、自分が教員を務めることに強い意義を感じる3つのポジションにて、現在教員を務めています。
早稲田大学ビジネススクールでは英語で管理会計を指導
10年超にわたって担当している、ひと際思い入れも強いポジションです。この10年の間にも、アジア太平洋研究科⇒商学研究科⇒経営管理研究科へと所属先が変わるほど、早稲田大学ビジネススクール自体も大きな変化を遂げています。
春学期(4月~7月)は月曜日1限の管理会計(Managerial Accounting)、全15コマのクラスです。講義も資料も討議も試験もすべて英語で指導しています。必然的に学生はほぼ全員留学生です。どちらかというと会計は苦手分野というのは、古今東西問わず状況はあまり変わりません。ましてや就業経験の少ない20代を中心とした30名の留学生たちです。管理会計の最初のクラスで会計嫌いを作り出さないように、基礎をしっかりと伝えることに重点を置きます。そのうえで、会社の中で独自なアプローチによって実施されるのが管理会計であるため、できるだけ多くのケースと事例を使って指導するようにしています。未来の日本と海外、特にアジア諸国の間をビジネスを通して結び付けていってくれる貴重な人材たちです。私がこれまで培ってきたものを少しでも多く伝えていきたいとの思いで、月曜朝いちばんの仕事に臨んでいます。
2017年度春学期の『管理会計(Managerial Accounting) 』のシラバスは、こちら
秋学期(11月~2月)は夜間の「企業分析と経営指標(KPI)」、全15コマ(7.5日)のクラスです。2015年に客員教授に就任した際に新設したクラスですが、私のど真ん中のコンテンツで担当させてもらっています。日中フルに働いた後の19時から22時まで、自己成長の勉学のために高田馬場まで訪れる日本人社会人学生約40名から受け取る熱意と刺激はとても新鮮であり、私自身も昔経験した懐かしいものです。彼らの意欲に負けないように、数多くの企業事例と経営指標を用いて、討議と発表を中心としたクラス編成としています。
多摩大学ビジネススクールでは『企業分析と経営指標(KPI)』を指導
春学期(4月~8月)の隔週土曜日に、品川キャンパスで「企業分析と経営指標(KPI)」を担当しています。どんな仕事もそうでしょうが、大学教員も様々な人と人とのつながり、ご縁があって就任に結びつくものです。多摩大学の教員就任についても、私が長年にわたって関与しているある教育機関の伝手から起こった話でした。どんな仕事も一期一会、つながりを大切にしたいものですね。
2015年度の就任以降、多摩大学でも私のど真ん中のコンテンツ「企業分析と経営指標(KPI)」を担当しています。土曜日のビジネススクールは平日とは違うゆったりした空気が流れた環境下で、私も学生も心にもう少し余裕を持って学ぶことのできる機会だと感じています。多摩大学では10名前後の少人数クラスが基本であるため、他大学に比べても教員と学生、学生同士がより密に議論できます。平日夜間、そして土曜日のみでMBAを取得しようという意欲高い社会人学生を相手に、できるだけ多くのものを学びとって欲しいとの思いから、隔週の土曜日に品川に通う春の日々です。
2017年度春学期の『企業分析と経営指標』のシラバスは、こちら
慶應義塾大学理工学部管理工学科では『経営計算第1』を指導
本年2017年度より担当することとなりました。母校・慶應義塾大学での教鞭は実は長年にわたって志願してきたことなのですが、本年になってようやくそのチャンスが訪れました。春学期(4~7月)の月曜日3限は、慶應義塾大学理工学部の矢上キャンパスに通っています。月曜日は高田馬場で9時から1限を行い、終了後すぐに日吉駅に移動して13時からの3限を担当するという流れです。早稲田大学と慶應大学の長い歴史の中でも、1日で両校の教壇に同時に立つ教員というのは、それほど多くはなかったかもしれません(笑)。
理工学部でなぜ会計を?と思われるかもしれませんが、私が卒業した管理工学科は、言わば理系的アプローチとセンスを、文系的な仕事に応用していこうという狙いを持っています。実際に半分程度の学生はいわゆる文系就職的な職業についていきます。私もその一人として、最初の就職先に富士銀行(現みずほ銀行)を選びました。
どんなビジネスにあっても会計は共通言語。こうした背景を考えれば、会計クラスが選択科目として管理工学科に設置されているのも、納得性が高いものです。矢上キャンパスでは、将来の日本を担う優秀な学部3年生を中心とした約60名に対して、全14回にわたる会計を指導しています。
これまでの踏襲で科目名は「経営計算第1」と、あまりパッとしないネーミングですが(笑)、中身は就業経験のない学生にとって身近な企業を事例として活用しながら、会計の基礎から応用までを指導しています。
以上のように、早稲田大学では留学生30名に対して、早稲田大学と多摩大学では平日夜間や土曜日に学ぶ意欲高い日本人学生計50名に対して、そして慶應義塾大学では将来の日本を背負う学部生60名に対して、いずれも計14~15コマのクラスを通して会計を指導しています。合計140名の学生に毎年14~15回会って継続的な指導を行う機会をいただけることは、3つの大学にも感謝です。
自分がこれまで培ってきたものを、大学という最高学府を通して社会に還元したいとの思いと同時に、私自身が刺激を受け、脳が活性化され、新たな価値の創出に結びつくための不可欠な機会として、今後も大学での教員としての活動も主体的にコミットメントしていく所存です。