いくら文法や単語を数多く知っていても、会話ができなければ、何のコミュニケーションも成立しません。いかなるインセンティブが背景にあろうとも、英語でコミュニケーションすることが、英語学習のゴールであるべきだと思います。
本コラムで以前書いたように、英会話スクールに何十万円ものお金をかけることのできない貧乏学生だった私は、タダで英会話する機会を積極的に作っていきました。
それは、留学生の集まるイベントに始まって、道に迷っている外国人、飛行機で隣合わせになった外国人など、ありとあらゆる機会です。
特に英語Nativeであるこだわりはなく、とにかく英語を話す機会を追い求めていたように思います。無料の活きた教材が目の前にあるのだから、それを活用しない手はありません。
中でも、飛行機の中で隣り合わせになり、その後30年来の友人としていまでも継続しているCarlos(イタリア系アメリカ人)には、英語だけではなく、人生の生き方の根本を教えられたような気がします。それまではどちらかというと神経質に物事を深刻に考えがちだった私に、Smile、常に微笑むこと。Take it easy、時に気楽に生きるのが解であることを、彼の人生や行動の1つ1つから肌身を持って学んでいきました。
私の人生に大きな影響を与えた人物の1人であることは間違いないですが、それも英語習得の執着の過程で生まれたものです。
英会話に関するエピソードをもう一つ記せば、学生なのでバイトはしなくてはいけない。このころは普段は思いっきりバイトして、そこで貯まったお金で夏休みや春休みの長期休暇に大好きなアメリカを周遊する。大学2年生から4年生はほぼそんな周期で1年間を動いていました。
そこで、バイトをしながら英語を学べる一石二鳥の機会はないか、となります。当時横浜に住んでいた私は、米軍基地で働くのが一番手っ取り早いじゃないか! と考え、立ち入り禁止の横浜根岸にある米軍の施設に無断で入り込み、そこのレストランに行って、「ここで働きたい!」と直訴しました。
詳しい経緯は忘れましたが、なぜか採用になり、今でも忘れない時給470円という、当時でも破格の安さでバイトを始めたわけです。
でも、日本にいながらにして、本物の米国人の生活の中で活きた英語を話し、聴きながら、お金ももらえるなんて、最高のチャンスだと思いませんか?
レストランでのオーダーの取り方から始まり、挨拶やサービス、笑顔、食事のスタイルなど、それはそれは、生の肌で感じるアメリカの空気、匂いでした。
時給は安かったですが、そこはアメリカ。良いサービスをするとチップをはずでもらえます。もちろんすべて米ドル紙幣です。自ずとサービスのモチベーションも高まります。一生懸命サービスすることで、必ず報われる。そうした感覚もこのバイトを通して培われたものかもしれません。ある黒人の軍人さんとその家族に丁寧にサービスした時、学生としては身に余るBig tipをもらった時の感動を、今でも鮮明に覚えています。
同時に、やりたいことは飛び込めば、実現する。そうした感覚も、その後の「まずは飛び込む」という無謀な性格につながっていったのでしょう(^^)。
会話編に王道はなし。自らそうした会話する機会を作りだすことです。社会人で金銭的に余裕があれば、時間とお金のバランスで良質の英会話スクールに通うのも良いでしょう。
でもお金や時間に制約があっても、その中で英会話スキルを高める手段は必ずあるはずです。無い理由を並べるのではなく、あるものの中から解決策を見出す。
これだけインバウンドが拡張している日本において、そのためのチャンスは目の前にたくさん転がっているのだと思います。
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