失われた 10 年と呼ばれる 90 年代の経済低迷期を経て、日本企業の決算の好調ぶりが伝えられています。景気回復による売上の向上のみならず、長年のリストラや生産性の向上等企業努力によるコスト削減効果も寄与し、 創業以来最高の利益額を達成する企業も多くなってきました。

ところで、一言で日本企業といってももちろん様々な業界があるわけで、好調な決算に至る背景も異なれば、そもそものおカネの使い方も業界によって大きく異なります。さらに言えば、同じ業界であっても経営戦略が異なれば結果となって表れる決算書の姿も自ずと異なってきます。

『シリーズ 財務諸表から見える企業』では、各業界を代表する企業の決算書を取り上げて、その業界での決算書の特徴を見ていきます。できるだけ身近な企業を取り上げることで、 業界の違いがどのように決算書に表れるのか、あるいは同じ業界であっても経営戦略の相違がどのような違いを決算書にもたらすのかについて、読者の皆さんが考え、学ぶきっかけを提供できれば幸いです。

シリーズ 財務諸表から見える企業

決算書を読む前に、はじめに確認したいこと