様々な企業の決算書を読む際に、最初に以下の三つを確認することから始めましょう。
1.日付を確認する
損益計算書( PL )には期間、貸借対照表( BS )には決算日の日付が記述されています。 PL は一年間の入りと出を並べたものなのでその期間が記述される一方、 BS は決算日真夜中 24 時の言わばスナップショットであり【図 1 】、貸方(右側)にお金の調達先(負債と株主資本)、借方(左側)にお金の使用先を映し出したものです。その両者は必ずバランスするのでバランスシートと言うわけです【図 2 】。熱心に分析した後に実は5年も前の財務諸表だったなどということのないように、日付を最初に確認しましょう。
【図1】損益計算書( PL )はフロー(期間)、貸借対照表( BS )はストック(決算日)
【図 2 】バランスシートは必ずバランスする
2.単独財務諸表か連結財務諸表か
単独財務諸表は個別の会社のみ、連結財務諸表は個別の会社とそのグループ会社を合算したものです。企業は最終的にはグループ全体として評価されるもので、新聞記事での売上や利益の金額も通常は連結財務諸表について記述されています。株式市場における企業の評価も連結財務諸表に対するものがあくまで中心です。
3.単位はいくらか
財務諸表により百万円、億円といったように単位が異なる場合があるので注意しましょう。ビジネスパーソンであれば、数千億円や数十億円といった単位を聞けば、それぞれのおおよその土地勘を持っているでしょう。その土地勘をそのまま活かして企業の規模感をつかんでいきましょう。
4.塊でとらえる
決算書を読む上で最も望ましくないのは、意味なく上から順番に読み取ろうとすることです。 PL でも BS でも、空中高いところからを眺めたつもりになって、大きな塊ごとに状況をとらえていくことが大切です。まず大局をつかんでから、詳細な分析に入っていきましょう。
【図 3 】PL の各利益項目を塊でとらえる
シリーズ 財務諸表から見える企業
- 阪急ホールディングス:阪神との統合前の最後の決算書 (2006年6月更新)
- 日本航空:営業赤字と過剰借金から離陸できるのか (2006年5月更新)
- アコム:消費者金融業界の利益(PL)と資産(BS)の構造 (2006年4月更新)
- マクドナルド:Are we lovin' it?(2006年3月更新)
- 楽天:ライブドアと似ていること、ライブドアと異なること(2006年2月更新)
- キヤノン:経団連次期会長が作り上げた決算書(2006年1月更新)
- ソフトバンク:5年ぶりの通年営業黒字化なるか(2005年11月更新)
- ファーストリテイリング:5年後に売上高1兆円を目指す決算書 (2005年10月更新)
- シャープ:総合電機業界の勝ち組は財務諸表も勝ち組か (2005年9月更新)
- 三菱商事:仲介機能と事業会社が融合する決算書 (2005年7月更新)
- 花王:24期連続増益記録を更新した決算書 (2005年6月更新)
- ヤフー:時価総額3兆円企業が配当をしなかった訳、配当を始める訳 (2005年5月更新)
- イトーヨーカ堂:イトーヨーカ堂が「セブン&アイ・ホールディングス」となる訳 (2005年4月更新)
- トヨタ自動車:日本で最も借金の大きい企業グループ (2005年3月更新)