4万名超の社会人学生と面してきて

毎年、約30社の企業で行われる企業内研修において、会計・財務分野の講師を担当しています。

年次は部長層や子会社社長といった自分より年上の方への教鞭をとることもあれば、入社したての新入社員の方に指導する場合もあります。内容も、自社の課題に踏み込んで深くディスカッションする場合もあれば、会計の基礎について、世の中のケース事例をたくさん使って、わいわいと指導していく場合もあります。

元来が新し物好きの性格なので、こうしたバラエティに富んだ指導機会をいただけることで、お陰様で毎回の研修を常に新しい気持ちで向き合っていくこともできています。

2003年に独立し、2004年に創業、この2014年で足掛け12年目に入ったことになります。かれこれ、4万名ほどの社会人学生に会計・財務を指導してきて感じる、「成功する会計・財務研修のために必要であると考えること」について記述してみようと思います。

 

研修前に必要なこと

研修で一番大切なこと、それは言うまでもなく、研修のゴールを明らかにし、そのゴールを実現するための研修機会とすることです。

そのためには、どういった背景によってこの研修が企画されるに至ったかを講師自身がしっかりと理解・納得することが大切です。

私の場合、懇意にさせていただいている研修会社さんを介した案件の発掘が多いですが、そうした場合でも可能な限りクライアントに同行訪問して、研修のゴールを私自身が納得できるまでヒアリングするようにしています。時に研修の目指したいゴールと、受講者のレベル感がズレているときには、段階的アプローチをとるなどのアドバイスを行うのも講師の責務です。

企業研修で訪問する企業については、パブリックに手に入るデータを基にして、かなりの時間を使って調べ上げます。少なくとも、会計・財務分野と、その背景にあるビジネスの構造について、受講者より詳しいだけの知識と見解は持って臨みたいと考えるためです。会計・財務といっても、それを作り出すのはビジネスです。よって、ビジネスの議論を行う以上、研修先企業のビジネスとそれが作り出す会計数値の構造について、自分なりの見解はしっかりと持っておくことは不可欠だと考えます。

 

研修中に必要なこと

研修は連日で行ってもせいぜい3日間、1日のみで終了することも時折あります。朝9時に始まって17時30には終了です。その間に研修のゴールが達成できていなければ、翌年度のリピートは困難かもしれません。そうした意味では、スポーツ選手やタレントに近い仕事と言えるのかもしれません。

曲がりなりにも12年にわたり、会計・財務分野の講師としてお仕事をいただける究極の理由は?と聞かれたら、それは経営者の代弁者であることを、いつでも意識の中心に置いているからかもしれません。

本来であれば、経営者、経営陣自ら自社の従業員一人一人に対して教育の教鞭をとられたいことでしょう。人財育成ほど大切な投資機会はありません。でも経営者がそこに極端に時間を割くことは現実的でもありません。それに代わって教育を行うのが人事部を初めとする教育担当者の方であり、その教育担当者から仕事を受けるのは私たち講師です。

経営者の代弁者になるためには、重複しますがその会社の中身について相当程度理解しておくことは不可欠です。今起きていることだけではなく、過去の重要な局面でどういった意思決定を行ったのか、これから起きうる環境変化に対してどういった対策が取られ、結果としての会計数値の変化が今後どう見込まれているのかなど。

手前味噌ですが、これまで8冊の書籍を書き、累計100社近い企業をゼロの状態から調べるトレーニングを私自身が積んできたことで、代弁者になるためのアプローチは、ノウハウとして蓄積できていると考えています。

 

研修後に必要なこと

いろいろな企業を毎年訪問します。不確実な時代にあって、いつも業績がピカピカの会社というのは非常に限られています。そんな中にあって、エクセレントと呼べる企業には2つの共通点があるのではないかと最近とみに感じています。

  • 危機意識がとにかく強い
  • 常に改善していくことを心がけている

これらは、どんな企業であっても意識していることだと思いますが、こうした姿勢が研修のPDCAサイクルでも実行できているでしょうか。受講者のアンケート結果だけで判断していませんか。

仮にアンケート結果が優れていても、研修の目的に少しでも未達なところがあれば、振り返りを徹底して次の機会に改善を実行していく。時折、「振り返りのセッションをずいぶんと頻繁に行う会社だな~」と思う企業に出会いますが、私自身、実はそういう企業が大好きです。最も私を刺激してくださる貴重なクライアントだと思っています。そういう企業は、厳しい要求をしながらも、実は長期的な信頼関係が築けていけるのだと考えます。

危機意識と、それを活かすための改善の意識が本当に企業全体にわたって浸透しているのか。人財という企業にとってもっとも大切な資産であり投資である研修が、もしやりっ放しになってしまっているようであれば、危機意識も改善意識も未だ不十分と考えるべきなのでしょう。

ここまで記述してきたことは、何も会計・財務分野だけでなく、企業内で行われるあらゆる教育機会において大切なことだと考えます。

「研修前におけるゴール設定の明確化」、「研修中では経営者の代弁者たること」、そして「研修後の改善活動」。

オオツ・インターナショナルでは、これからもこの3つの視点を大切にしながら、クライアント企業と長期的な信頼関係に基づく、有益な教育機会を提供して参ります。

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